最近見たり読んだりしてよかったもの

ちょっとだけ見たとか読んだとか、そういうものばかりだけど。

ロミオ+ジュリエット(映画)

気になって午前十時の映画祭で観てきた。 このときのディカプリオ、こんなに美しい人がいるのか……。おじさんのディカプリオしか知らなかったので、声が高くて驚いた。

下調べでググったところ出てきたブログに、「冒頭の変な演出を乗り越えればあとは普通のロマンスです」というようなことが書いてあり、そうなのか~と思っていたら大嘘で笑った。ずっとアクの強い演出が続くじゃないか。なにもかも普通のロマンスじゃないが。

でもそれが面白かった。ばかばかしさとか、中二病っぽいかっこいい画とか(なんで冒頭、回転木馬でたばこ吸ってるんや…)、ロマンス映画(?)なのに男たちがやたらエロティックだったりとか。変な映画だなあと思った。あっけないエンディングもよかった。もう少し勉強してもう一度観たい。

ある小さなスズメの記録(本)

5月ごろ家のベランダの換気孔にスズメが巣を作っており、読みかけだったのを思い出して取り出してきた。 読みやすいのでサクサク読めるのだけども、あまりに美しい文章だったので少しずつ読んだ。

特に年老いてからのスズメの描写が好きだった。人間は鳥と違ってかなり延命されるし、介護のような、社会生活を営む必要上の、現実の生々しいものがあるのは承知しつつ、人間が老いることもこうであったらよいと思う。

それにしても、家にスズメが巣を作っていたのは嬉しかった。それなりにうるさかったのだけど、日に日に鳴き声や物音が変化するのは面白かったし、スズメがねぐらにしている街路樹の葉の色が、だんだん濃くなるような変化もわかるようになった。何かの成長で時の流れを感じられることは快く思う。

ナビレラ -それでも蝶は舞う-(ドラマ)

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ネッ…で1話を見ただけだけども、いまのところ気に入った。

やっぱりこの頃老人が主人公の青春物語が流行っているような気がする。いまこんな風にコンテンツを見ている人で、いつか自分が老人になるということを想像して憂鬱にならない人はいないのではないだろうか。段々わからないことが増えて人から疎まれるのかなとか、そのころ所属できるコミュニティがあるだろうかとか、家族がいても孤独だろうなとか。

同じくネッ…で観た『夜が明けるまで』も老人映画でよさそうと思って観たのだが、こちらは単に老人になったって恋愛することもあるぞという、それ自体はいいと思うけど、老人ならではの恋という感じがあまりなくておもしろくなかった。それぞれの失った身内の存在も軽いし、結末もなぜいきなり家族を尊重し出すのか共感できない。恋愛中に深刻に家族を気にかけているように見えなかった。だからこそ気が付いて心変わりするのだと思うが、その程度なら素直なハッピーエンドにしてくれればいいと思った。単に依存し合っているじじばばであまり美しくない。そのように美しくないのが人間だと言われれば、そうですね。でも2時間かけて老人になっても人は愚かという物語を見なければならないのはきつい。

なぜ『ナビレラ』が気に入ったかといえばこの点だと思う。老人の家族のしがらみの重さとか、身近な人を失うことがきちんと共感できる形で描かれていたから。

僕の妻は感情がない 01(マンガ)

1巻だけ読んだ。おもしろかった。本筋ではない(?)と思うけど、自分がよかったと思ったのは以下のとおり。

主人公はやさしい女を得たいと思っているタイプで、それだけ書くと今だと批判されそうな造形なのだけど、ちゃんと意図してそういうキャラ造形になっていてよかった。 付き合っていた女の子について回想するシーンで、「本当にきれいでやさしくておっぱいもおおきかった」「好きとか嫌いとか面倒くさいので最近は女のこととか考えないようにしていた」とつらつらと述べるモノローグに感情がなくて、女というよりやさしくてあたたかいものを求めている孤独な人間なんだとわかる。

しかしそういう、ジェンダー規範を押し付けてくる社会に毒されたとでも言うべき欲望を持つ主人公の孤独の描き方が、どうしてか厭らしい感じがしなかった。そこがとても気に入った。人(ロボットだけど)を傷つけていないから? おれは主人公が家事ロボットに「ミーナちゃんにとって僕ってなに?」とすがって泣くシーンで泣いてしばらく読めなくなった。弱い人間に弱い。

主人公はもちろんのこと、会社の上司とか、妹とか、キャラがそれぞれやさしくてとてもよい。続きも読む。